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七人の侍(1954年)
日本映画の金字塔である偉大過ぎる作品。
敗戦から僅か9年後に公開された映画ですが、恵まれた時代に作られている現代の映画なんて霞んで見えるほどの、凄まじいエネルギーに満ち溢れています。
素晴らしいなぁと思うのは、3時間半の長い作品であるのに、その長さを全く感じさせないところ。そして無駄だと思えるシーンが一切無いところ。
超有名な音楽のOPから始まり、まずは野武士の略奪により困窮した百姓たちの姿が映し出され、次いで侍探し、身分違いによる軋轢、微笑ましい交流、若侍と村娘の恋愛、物見を捕らえることから始まる野武士との対決、そしてこれまた超有名な雨の中での最終決戦、ラストの田植えのシーン・・・。

ほんっっっとうに濃密な3時間半です。まるで自分が作品の世界に入り込んでいるような気になって、ラストの「終」の文字が映し出されたところで、ようやく現実世界へ帰還する・・・。そんな錯覚を覚えました。

基本的にわかりやすい内容ですし、どちらかと言えば娯楽作品ですから、初めてモノクロ映画を見る人にはお薦めの作品です。モノクロは美しいと思えるようになりますよ。まあこれは個人の嗜好にもよりますか。

登場人物については、侍たち皆かっこいい!とか、そんな感想ばっかりになりそうなのでくどくど書きませんが(既に語り尽くされていますしね)、あえて言うなら、菊千代が本当にぶっ飛んだ面白いキャラでした!三船敏郎の怪演に開いた口がふさがらない!あんなキャラを完璧に演じられる役者なんて、世界中捜してもこの人しかいないんじゃないかなぁ。
あとは若侍の勝四郎がほんと若くて弱くて・・・。こういうタイプが好きな女性って多そうですが、私は少し苦手です(^^;)もう少し若い頃に観ていれば、また違った印象を抱いたかもしれませんが。
黒澤監督の作品って若い=愚かな未熟者として描かれることが多いですが(「椿三十郎」は顕著に出ている)、この映画では勝四郎がこれに当てはまりますね。現代では若く見られることが得のようなイメージがありますが、でも若者って本来こんなものではないでしょうかね。

あと個人的に印象に残ったのは、百姓たちが落ち武者狩りをしていたことがわかり、侍たちの間に不穏な空気が漂う。次いで久蔵が放った「俺は、この村の連中が斬りたくなった」という言葉に対して、菊千代が侍たちに怒鳴りつけるシーン。

「やい、てめぇたち!一体百姓を何だと思ってたんだ?仏様だとでも思っていたか?笑わしちゃいけねぇや。百姓ほど悪ずれした生き物はねぇんだぜ!」
「米出せって言えば無ぇ!麦出せって言えば無ぇ!何もかも無ぇって言うんだ!ところがあるんだ、何だってあるんだ。床下引っぺがして掘ってみな!そこになかったら納屋の隅だ!出てくる出てくる、かめに入った米!塩!豆!酒!山と山の間に行ってみろ!そこには隠し田だ!ぺこぺこ頭下げて平気で嘘をつく!何でもごまかす!」
よく聞きな!百姓ってのはなぁ、けちんぼで、ずるくて、泣き虫で、意地悪で、間抜けで、人殺しだぁ!!おかしくって、涙が出らぁ!
だがなぁ、こんなけだもの作りやがったのは一体誰だ?お前たちだよ!侍なんだよ!!
戦あるたびに村は焼く!田畑踏ん潰す!食い物は取り上げる!人夫にはこき使う!女漁る!手向かえば殺す!一体百姓はどうしたらいいんだよ!?百姓はどうしたらいいんだよー!!ちくしょう!!」

いざ書いてみると滅茶苦茶長い。笑
こんな台詞を、菊千代が観客に語りかけるようなアップの構図で2分近く映されます。凄い勢いのあるシーンです。思わず勘兵衛と同じように、目が潤んでしまいました・・・。

そしてこの台詞からは、虐げられる側の百姓が単純な善人というわけではないことが読み取れます。現代では虐げる者=悪人、虐げられる者=善人、という単純な図式の作品しか見かけないので、これはとても新鮮に感じたし、ある意味感動もしました。人間臭さを表現するのであれば、こういう強かさや逞しさがあっていいと思いますが、どうでしょうか?(手塚治虫の「どろろ」にもこんな表現がありましたし)
まあ冷静に考えれば、虐げられるのを何もせずに黙って受け入れるだけって、ただの阿呆ですよ。笑


凄く長々と書いてしまいました;そしてこんな文章で、この偉大な作品の魅力が伝わるか甚だ疑問ですが・・・。しかしこれだけは、確実に言えます。

日本人だったら観るべし!!!

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ファインディング・ニモ(2003年)
昨年続編が公開された影響で久しぶりに鑑賞。ちなみに続編は興味ないので 観てないです。笑
久々に観たけど面白いです。父と子の絆がテーマなんて今では珍しくて新鮮で、何より内容もわかりやすい。人間に攫われてしまった(魚からの視点ではそうなるのだが、人間の視点では弱った魚を助けたというギャップも面白い)息子・ニモを助けるため、偶然知り合った物忘れの激しいドリーと一緒に広い大海原を旅する父・マーリン。マーリンは序盤でのある出来事がきっかけで、ニモに対して過剰なまでな過保護っぷりを発揮し続けて、当の息子からは呆れられるほどの駄目な父親でした。それがドリーと苦難を経験していくことで、良い意味で変化していきます。このドリーが物忘れの激しさで思いっきり笑わせてくれます。そしていいキャラなんです。日本語吹替えで見ることが多い作品ですが、ドリー役の室井さんの声は凄く嵌ってますね。

マーリンが苦労しながら息子を捜す旅をしている間、ニモも水槽で知り合った魚たちと協力して脱走を試みようとします。ここでも所謂魚たちの敵がいるのですが、なんと8歳の少女という設定。敵が少女なんて、これも今では珍しい設定ですね。
ニモは人間で言う障害者のせいか、好奇心旺盛の割りにどこか弱気な面もあって最初の脱走計画は失敗してしまうのですが、カモメのナイジェルから父親の武勇伝を聞かされて俄然奮起。父の活躍を知って自分も頑張ろうとする息子、という展開はとても微笑ましい。音楽と相俟って大好きなシーンです。

そして様々な苦難を乗り越えて再開する父子。もうこの時には過保護で心配性なマーリンはいません。この作品はニモ以上にマーリンの成長が一番の見所ですね。そしてドリーとの掛け合いも!

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デイ・アフター・トゥモロー(2004年)
急に見たくなったので、久しぶりに鑑賞。こういうパターンほんと多いな。笑

保守寄り思想になる前の無知な時期によく見ていたので、今見るとどうかな~とか思っていましたが、純粋に面白かったです。やっぱり好きなアメリカ映画の一つですね。

スーパーヒーローが出てくるわけでもなく、自然の脅威の前にはどうしようもないくらい無力な人間の姿。所詮人間ってちっぽけなんだよな、と嫌でも思い知らされる。それぐらい災害の映像がリアルでした。竜巻には地味に恐怖を感じました。

災害大国に住む日本人はこういう話好きじゃないかな。かなりリアリティがあります。ニューヨークに津波が襲い掛かるシーンはほんともうね、今見ると東日本大震災を彷彿とさせられて、緊張感が凄まじいです。これが現実で起こったんだよな、と思うと。
ただ氷河期になったニューヨークの真っ白な光景は、凄く綺麗でした。笑

人間ドラマは割とあっさり目かな。でも変に濃いドラマ描かれるのも逆に冷めるから、個人的には良い感じに仕上がっていたと思いますけどね。恋愛要素もありますが、どちらかと言えば親子の絆の方を重視しているように感じられます。ラストの父子の再会はほろっときます。

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言わずと知れたディズニー不朽の名作であり、ディズニー初の長編アニメーション。

白雪姫(1937年)
ストーリーは今更説明する必要もないですね。

序盤から素晴らしい世界観になっています。特に早々と白雪姫が城から出されて森に入っていくのですが、その森の情景が凄すぎる。どうやったらこんな世界観が思い付くんだと、びっくりさせられました。
森でのおどろおどろしさから始まって、動物たちや小人たちとの出会い、不気味な女王、毒りんご、小人たちに追い詰められる女王、白雪姫の死を悲しむ小人たち・・・。テンポよく進んでいくので、見ている人を自然に引き付けてくれます。
絵も色彩も勿論綺麗です。特に白雪姫はとっても女らしく可愛く描かれています。動きがほんと優美。それが凄く安心して見ていられます。
小人たちも愉快愉快。日本語訳の名前がかなりおかしかったです。もう動きがほんっと面白くて本気で笑わされます。
音楽も場面ごとに合わせて、効果的に作られていて、展開を盛り上げてくれます。

ちょっぴり感動するのが、動物たちが留守番中の白雪姫に危険が迫っていると気づいて、仕事場に出掛けた小人たちを何とか連れて行こうとするシーンがあるのですが、それまで白雪姫を嫌っていた怒りんぼの小人が、真っ先に白雪姫の危機に気づいて家に駆けつける所はグッときます。やっぱり皆白雪姫が好きなんだなぁってことが感じられます。

大人も子供も素直に楽しめるよう本気で作っていることがよくわかります。これが戦前に作られたとか信じられないですね。こういう所で米国の凄さを思い知らされます。

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この作品はかな~り前から感想を書こうと思っていたんですが、気づいたらこんなに日が経っていました。笑

安寿と厨子王丸(1961年)
無実の罪を着せられて都に連行された父の罪を晴らすため、母と一緒に旅立った安寿と厨子王丸の姉弟だったが、その途中で人買いの罠に落ちて母と離れ離れになってしまう。姉弟は強欲な山椒太夫の下へ売られ、二人は過酷な労働を強いられる・・・。

苦難の中でもお互いに助け合う安寿と厨子王丸がひたすら健気です。特に安寿は山椒太夫の息子である三郎と親しくなりますが、その後の安寿の運命を考えると無性に悲しくなります。

まるで日本画がそのまま動いているような美しい作画が凄いです。日本人として真っ当な感覚を持っている人たちが作っただけあって、出てくるキャラの動きや身のこなしがしっかりしています。動物たちも可愛らしかったです。
言葉遣いも勿論綺麗です。特に後半に出てくるあや姫が厨子王に対してしっかり「様」呼びしている所が良いですね。現代人が作れば絶対呼び捨てになりますから。

以前紹介した「少年猿飛佐助」を製作した東映のアニメ映画なだけあって、CGで手抜きする今のアニメに比べれば、こちらの方が遥かに優れていますよ。ラストは本当に泣きました。

安寿と厨子王丸 予告編

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